アルバムリリース!!G/Vo(後編)

(※これは廃墟となっていた過去のバンドBlog「Bathtub」からのサルベージ記事です。サルベージ日:18/6/22 オリジナルのポスト日は投稿日時参照)

 

(承前)
前編で挙げたように、今作は多くの方々の関係によって成り立っている(それこそ前に挙げたようなパブリックとして、関係して下さっている方から、プライベートで関わって下さっている方まで…)。

そして、今作は全ての曲において、「関係性」について歌っている。

時に奪い合う、時に与え合う、時に魅かれ合う、時に全く興味のない振りをしてしまう、時に他者を遠景化して恐怖し身を縮こませ、時に「君」に耽溺し、時に「あなた」を畏怖し、時にエロティックに、時に情欲とも形容し難い自分でも制御しきれない「想い」に溺れてしまう、そして別れを告げる……多くの関係性を歌っている。


最初のテーマとして、今作は全曲、広義でのセックスソングのみを詰め込んだアルバムにする予定だった。
「君」との関係に溺れ、息継ぎ無しに、「君」の吐いた息を吸い込み、もつれ合って、でもそれでいて、どこかで「君」とは別の、「彼ら」だったり、「あなた」だったり、1人の時を夢想するような、近くて離れたいアンビバレントな関係を綴るような作品にしたかった。
もし今作を聴いいただいて、セクシャルな面を感じることがあるならば、その一端が表れているのだと思う。

しかし幸運なことに、その目論見は完遂されることはなかった。
と言うのも、アルバム制作に1年もかかったことで、僕の他者への目線が変わったこともあるし、メンバーの無言の意見をどんどん汲み取っていったこともあるからだ。


それはサウンドに合わせて、時に柔らかに、時に切なげに、時に強情に、時に明滅と共に鳴り響く警笛の如く幾様にも変化していった。
最早、それはセックスソングでもラブソングでも、フェアウェルソングでもなく、ただただ「関係」ソングになった。


そして出来上がったのが、この日常の中のポップでグロテスク、アンビバレントなアルバムだ。

前に行われたインタビューで語っているが、最初は半ば適当に付けられたこのタイトルが、妙なことにアルバムのスタイルを表しているようにも思う。

僕は歌詞を書くときに、「もしこんなシチュエーションだったら…」と想像しながら書くことが多いが、今作の中で書かれたのは、そんな「もしこんな状況に置かれたら…」と想像しながら作られた曲である。
それぞれの曲がどういった状況に置かれているか、それはリスナーの皆様方の想像に委ねさせていただきたいし、皆様方の「今」置かれている環境によって変化もすると思う。
僕自身、こうしてパッケージになってしまえば、どの曲がどういった状況に置かれているのか把握しきれない。曲自身が曲自身で勝手に歩いているし、主張しているんだろう(と思う)。


それに古い曲では2010年の夏からあり、新しいものでは2013年の曲まである。
その中で僕自身の置かれた環境も大きく変わっている。内に数少ないささやかな出会い、大きな離別、諦観したようにローに過ごした時期もある。今も続いているかも知れない。しかし、それは作品としては、はっきり言ってどうだっていい。


もっと極端に言ってしまえば、今作の中でメッセージと言えるものは、僕個人の見方では、ない。
今作で歌われている曲は、どれも僕自身であるし、どれも僕自身でもない。歌われているのは、「剥き出し」の関係だ。
幸運なことに、どの曲の主人公たり得る主観も、正直な気持ちだけを切り取って言葉にしてくれている。
彼らは彼ら自身が感じている心情を吐露している。彼らは彼ら自身に置かれた状況の下で、自らの本心を吐露しているだけで、そうなると僕自身でも彼らの全てを把握しきれない。
彼らは僕自身によって書かれたものであるけれども、それ以上にBathroom Sketchesのメンバーとして関わってきた人たちによってできた存在であるからだ。

 

…と、あかん。やっぱあかん。
何か普通に自分のアルバムをリリースに際して紹介しようと思ってたのに、何かレコメンド調の文体になってる。恥ずかしい。やっぱり自分で自分の曲を語るとか無理や。。

 

いやー僕だけかも知れないんですが、自分で自分の曲を話す、しかもインタビューとかでなく普通にブログでひとりでに、となったら変に緊張して訳分からん言葉になってしまう。何なんでしょうね…。。

僕自身は正直、意識が次のアルバムに向かっちゃってるくらいなのに!!
次のアルバムは、今作である程度出し切った日常のポップな毒素を「横切って」、また違うアルバムになると思います。
サウンドも今作に収録されなかった、テクノポップな曲、渋谷系っぽいちょっとニッチでジャジーな曲、スウェディッシュポップぽい曲、エモっぽい焦燥感のある曲、率直なギターロックっぽい曲、インディトロニカっぽい曲とか色々ストックがあるので。。
歌詞もまた結構違うと思うなぁ…多分「関係性」は基調にし続けるだろうけど、今回の9曲とはまた違う関係性の曲になってると思う。
女性メンバーがまた入ったことで歌詞の書き方もまた変わるやろし。かなり影響されやすい質です。

 

…と言う事で長くなっちゃいましたが、この辺りでアルバムリリースに際してのブログはひとまず終了です!