『Missing』
自主制作限定盤として発表され、入手困難となっていた第二期ARTミニアルバム3部作の前2作、『スカーレット』と『LOST IN THE AIR』の収録曲に新録2曲を加えて発売された企画盤。
【特徴】
・木下氏の自主レーベル・VeryApe Recordsではなく、ポニーキャニオン(ROCKER ROOM)からのリリース。
・ジャケットの女性は、フジテレビ系の恋愛エンタメ番組『あいのり』(スピッツが「スターゲイザー」を主題歌として提供した)に出演していた女性を映して、表情を切り取った虚無的なもの。
・初回盤には「フリージア」のPVと4曲のライブ映像(「BLACK SUNSHINE」「スカーレット」「あと10秒で」「Fade to Black」)を収録したDVDが同梱された。
2006年9月発売。
1.Missing
イントロの雑踏をサンプリングしたようなSEこそ、『PARADISE LOST』の流れを彷彿させるものの、そこから一転、力強いバンドアンサンブルが交わってくると『Flora』期を感じさせる鮮やかに開かれたサウンドに。クランチ気味にかき鳴らされるギターと後ろで切なく鳴るアコギの対比が特徴的だ。
ただし歌詞自体は「いつかは失われる2人の(セクシャルな)関係」が描かれており、『スカーレット』『LOST IN THE AIR』収録曲と並んでも違和感ない仕上がりになっている。
なおPVの監督は木下氏。指名手配された脱獄犯とその恋人の逃避行〜心中を映す。メンバーは、警官役で登場(櫻井氏のみ狂気の祈祷師役で良い味を出している)。無表情でフラフープを回す戸高氏が可愛らしい。
2.それは愛じゃない
メロは「FIONA APPLE GIRL」の使い回し。
タイトルは「君は僕のものだった」などに通じる文章的なもの。
<<誰もいなかった公園の噴水に/裸足で飛び込んだ/君に見とれた>>、<<彼女の血管は/青白く輝いて>>など『LOVE/HATE』期を思わせる叙景的な詞世界だが、こちらも愛には満たない2人の関係を捉えており、同収録曲とのマッチングが秀逸だ。
なお、その"君"の足に見とれるという描写や<<それは恋だった>>というフレーズは、スピッツ「仲良し」から。