『シャーロット.e.p.』

(※これは(勝手に)ART-SCHOOLSPITZGRAPEVINEの楽曲を全曲解説していく途上で遺跡となってしまっていたBlog「Self Service」の移植記事です。移植日:18/6/22 オリジナルのポスト日は投稿日時参照)

 

インディ時代最後となる3rd mini album。

【特徴】
・前アルバムがオマージュを多用しすぎたためか、今作では少々抑えられている。
・このアルバムのリリース前に、木下氏は事故で母を亡くしている(ROJ誌の2万字インタビューより)のでレクイエムの意も込められている。
・ジャケットは大山氏によるもの。
・最後には木下氏の独断で、Eelsのカヴァーを収録。

2002年4月リリース。

シャーロット.e.p.

シャーロット.e.p.

 

 

1.foolish
タイトルが全文字小文字なのが珍しい、ノイジーグランジソング。
これはSuperchunkのアルバム、『Foolish』からの引用。
サビ後の絶叫<<I don't have it light>>はThe Posies「Throwaway」の<<I don't have it now>>の引用。
曲構成としては、後で作風が第二期「イディオット」で使いまわされてる感がある。攻撃的な1曲。
アウトロはThe Posies「Grant Hart」から拝借している。


2.シャーロット
甘美的なタイトルトラック。
冒頭の歌詞からすごく耽美的な一節。秋になると聴きたくなる、初期のアンセム
サビでは結構歪みが入ってエッジがたった音なのに、あまりそれを感じさせないソフトさがある。

メロディラインは、まんまBelinda Crlistle「Heaven Is a Place on Earth」(CMで有名だった曲)。
歌詞の幽玄さが暴虐な前曲からさらにファンタジックな次曲の良い橋渡しにもなっている。


3.プール
タイトルはSpitzプール」から。
リフはまんまRide「Vapour Trail」。
個人的にこの曲は、そんなにシューゲ感は感じず、良質ギターポップな印象です。
木下氏がパワーコードではなく、コードで弾くごく初期にしては珍しい曲でもある。
教会近くのプールで絡まるという情景は、若干、ネタ元のスピッツの世界観を西洋風にアレンジしているような。
ライブでは<<彼女は笑って>>を、<<彼女は狂って>>に変えている。
自分が高校生だった頃のARTライブでの1曲目の定番だった曲。


4.FADE TO BLACK
タイトルはアメリカ映画『FADE to BLACK』より。
この曲は第一期ARTにしては珍しく分数コードが多様されており、若干、演奏にはテクがいる曲。
ファンの間でも人気が高く第二期、第三期でもライブでよく演る曲ですが、個人的には…。。


5.I hate myself
タイトルはNIRVANA「I hate myself and I want to die」からか。
シンプルな曲構成で、典型的な初期ARTっぽい曲で、ややもすれば地味にも感じうる曲。
ただ歌詞は、第二期の「Perfect」などに通じる疎外感を歌ったものになっている。
<<太陽に永遠が~>>のフレーズは、ランボーの『見えた!何が?…永遠~』の一節からなのか。


6.IT'S A MOTHER FUCKER
Eelsピアノ曲のギターカヴァーver.
ソロ時代のようなあどけないボーカリゼーションで、たどたどしく歌う木下からEへの愛が伝わってくる良いカヴァーです。
しかしワガママを言えるならば、個人的にはEelsなら「Novacine For The Soul」あたりをカヴァーしてほしかったり…。苦笑