「EVIL」

(※これは(勝手に)ART-SCHOOLSPITZGRAPEVINEの楽曲を全曲解説していく途上で遺跡となってしまっていたBlog「Self Service」の移植記事です。移植日:18/6/22 オリジナルのポスト日は投稿日時参照)

 

『LOVE/HATE』期の始まりを予感させる、2nd single。

【特徴】
「WISH」以外は全部、後にアルバムに収録されるので廃盤になったARTの盤の中でも需要は少ない方か。
・ジャケットは大山氏によるもので、水彩画のようなタッチ。

2003年4月リリース。

EVIL

EVIL

 

 

 

1.Evil
リフはまんまSoundgarden「Room A Thousand Years Wide」。
最初に聴いた時、内心「Evilだ」とつっこんだ記憶が(逆)。
典型的なグランジソングでシアトルの匂いがプンプンする曲。
重厚なリフから重苦しいのた打ち回るサビまでがもうAlice In ChainsSoundgardenみたいだけどシングル的にどこかポップな側面もある作風です。


2.WISH
タイトルはNINE INCH NAILS「Wish」から。
イントロから雪崩のように崩れこむ音の洪水、特に大山氏のモジュレーションをかけた嵐のようなギタープレイは、まさにシューゲイジーオルタナの鑑のような曲。
2分以内で収まるシンプルながら、かなりエッジの鋭いギターで存在感がある。


3.モザイク
恐らく第一期のARTの中で最もエロティックで、歌詞だけ見ると第二期のような雰囲気もあるミドルテンポの曲。
「MISS WORLD」同様に静→動の動きを強調した曲構成で歌詞の残酷さを強固にしている。
永遠に君と僕は他人という、ARTが後に追求し続けることになる個の世界が明らかになっている。
それにしても<<さあ舐めて>>とか<<もう一度何が欲しいか言って>>とか、直接的にサディスティックなエロティシズムを感じさせる曲。
アウトロはSuperchunk「Animated Airplane Over Germany」のそれを引用しており、後に「DRY」で使い回されている。


4.ジェニファー'88
サビがソロ時代の「GLORIA」をまんま英訳した感じ。
<<君の冬が~>>はSmashing Pumpkins『Silver Fuck』の冒頭部分から。
曲構成としても「GLORIA」と似通ってはいるが、こっちの方がやっぱり切迫感があって、煮え切らない感じがフツフツとしている。
最後のドラムがドカドカ演る感じは、少しWeezerなどのパワーポップ由来の印象も。