アルバムリリース!!G/Vo(前編)

(※これは廃墟となっていた過去のバンドBlog「Bathtub」からのサルベージ記事です。サルベージ日:18/6/22 オリジナルのポスト日は投稿日時参照)

 

本日…と、言いつつ、このブログを書き終えた時には既に日が変わっちゃってると思うので、昨日、ですが…Bathroom Sketchesの1stフルアルバム、『(Across the)Yellow Town, Pink St.』がリリースされました!!

現在は、公式HPから銀行振込のみの対応となっておりますが、すぐに公式HPでのクレジットカード決済、Amazonでの販売も対応できると思います。レーベルさんからは、今日、無事、Amazonへの出荷準備が整ってきていると連絡をいただきました。


《現時点での簡単なお買い求め方法!》
Bathroom Sketchesウェブサイト内「CONTACT」のフォームに「氏名・送り先の郵便番号/住所・希望枚数」を入力の上、送信→Bathroom Sketchesより振込先銀行口座の連絡メールが届きます→銀行口座に振り込んでいただいて、確認が取れ次第、こちらから発送
という手順になります。

 

(相変わらずの長文なので前後編に分けています)
さて、無事アルバム完成し、製品としてリリースすることができた。このアルバム、本当に制作期間が長かったと思う。
2ndデモ『January Plot.ep』ができたのが昨年の2月。
そこまでで収録曲はほとんど出そろっていたのけれど、昨年の夏頃からレコーディングが始まり、マスターアップしたのが今年の7月。およそ1年、曲が出そろってからは1年半かかった。
収録曲数に対しての制作期間の長さから、当然のごとく、順風満帆に作業が進んだとは言い難い。

昨年夏にドラム録りから始まって、時にはレコーディングスタジオで、時にはリハーサルスタジオで、時にはメンバーの自室で、時にはエンジニアさん宅で…いたる所でドラム以外のパートが録られた。
時にはDAWに向かう人数がメンバー含め3人だったり、それぞれのパートを録っている内にミーティングをしたり…僕はフロントマンという立場上、全ての現場に居合わせたのだけれど、バンドとしても、メンバー個々人としても、エンジニアさん方(関わったのは3名に及ぶ…)としても、とても長い時間がかかったと思う。


もちろん、長時間に及ぶなかで、方向性の相違やモチベーションの維持の難しさから何度となくミーティングが行われた。その中で、オリジナルメンバーであり僕達のバンドのリスナーとしての音楽への貪欲さが人一倍強かったリョージくんがサポートメンバーになるという事態も起きた(リョージくんは収録曲の内1曲を除いて全ての曲のベースを弾いている)。エンジニアさんは結果的に2人が離脱してしまった。
それは度重なる話し合いの末の結果であることもあったし、ある日突然、ということもあった。


転機となったのは3つ(と思う)。

最初は昨年の12月、僕達にとって初めてのエンジニアだった僕の大学での後輩が、彼自身の生活苦と我々バンド側の意欲の大きさから離脱してしまった時だった。
紆余曲折あったが、ここから本格的なレコーディングスタジオでセルフプロデュースで制作することが決定した(僕個人の彼との仲は今でも良好ですよ!)。


次に、先にも挙げたリョージくんが、モチベーションの差異により彼がサポートベーシストとなった時だ。
それまで僕達は、時には昼に、時には夜通し4人で度重なるミーティングを行った。彼がサポートベーシストとなるのは、僕個人としては本当に苦渋の決断だった。何より、3年以上一緒に演ってきた旧知のオリジナルメンバーだし、彼の最初の言葉がなければ、この作品はBathroomsではなく、青野ソロの作品として出されていたかも知れないくらい、このバンドの方向性を裏で大きく握っていたのが彼だった。葛藤の末に彼はサポートベーシストとなった。帯を締め直すように緊張感に包まれた。
そんな彼はサポートベーシストとしても、その立場以上に、素晴らしいベースを今作では響かせてくれている。特に「Affairs」で流れるように弾かれる彼のお得意の流麗なベースライン、「カリフォルニアン・ロケット」で弾かれるエッジのたったウワモノと騒々しいドラムの合間を縫うように動き回るベースは、曲に素晴らしいアクセントを付け加えると共にBathroom Sketchesのサウンドを印象づけるのに非常に大きな役割を担っていると思える(もちろん、僕個人の彼との仲も今でも良好ですよ!)。


そして最後は、今作中6曲のミキシングを担当してくださった高倉さんが今年の6月に突然、レコーディングスタジオを去られたことだ。
とても気さくな方で、僕達メンバーが意見の相違でお互いが言い出せない時も、陽気なノリで場を和ませて下さった。高倉さんのおかげで僕達はいつも緊張感と同時に穏やかな気持ちでミキシングルームに入っていた。それでいて、アウトなところは、はっきりとアウトと伝えて下さる方でもあり、OKテイクが出るまで根気強く僕達のレコーディングに付き合って下さった。
今回のアルバムはセルフプロデュースということになっているが、実質的に数曲は僕達と高倉さんの共同プロデュースであると言っても過言ではないかと個人としては思っている。また彼はプレイヤーとしても僕達の楽曲に関わって下さった。彼のアイデアの一端は「Into Your Bathroom」で彼自身の手で弾かれたオルガンの音色に表れている。
そんな彼が去られて一旦、僕達は途方に暮れていた。

しかし、新たに京都から全国的に活動しているインストゥルメンタルロックバンドとしてFUJI ROCKにも出演経験のあるjizueの井上さんがエンジニアに就いて下さることになり、その緻密でプロフェッショナルなエンジニアリングで今作は無事、完成した。
井上さんのエンジニアリングの妙は「Kinky Ape」の縦横無尽に飛び交うシンセの音色とインプロっぽくなる間奏のVoと楽器のバランス、そしてアウトロでの右左に交差する笑い声(これ全て僕の笑い声をサンプリングしてめちゃくちゃなまでに加工したものです)の連続に特に顕著に表れていると思う。



決して前途洋々とは言い難い1年だったと思う。
しかし、Bathroom Sketchesとして最も濃密な1年だったことは確か。


制作当時の4人のメンバーやエンジニアさんのほかにも、このアルバムは多くの方の協力によって制作された。


「水槽」「Affairs」では、それぞれサビで新メンバーの但馬さんのウィスパー気味のコーラスを聴くことができる。ジャケットアートワークは全て、過去にドイツオレンジのジャケットも手がけてきた、東京のイラストレーター、岩沢さんによるものだ。
彼女については語り出すとゆうに一つのブログ記事になってしまうので、またの機会に書くとして、その淡く、しかし、したたかなイラストレーションで今作は音楽が持っているものを余すところなく、それどころかそれをも超えて素晴らしいパッケージとなっている。彼女のアートワークについては、本当にまた別記事で書こうと思うけれど、表ジャケの水中の中で虚空を見つめるように佇む女の子は、このアルバムのスタイルを絵で端的に表していると僕は思う。
岩沢さんの絵の持つ淡さと、傷口を抱えながら、それでも微笑む、あるいはこちらを柔らかく見つめる魅力で僕達のアルバムを彩っている。
このジャケ、イラストをご依頼してほんの2,3日でラフスケッチが送られてきて、度肝を抜かされた。他にも、盤面のデザインや「彼女直筆の」歌詞カードとパッケージのほとんどの部分は彼女の手によるもので、僕個人としては、このアルバムは、パッケージは僕達と岩沢さんの共作とさえ、恐縮しながら思っている。


それだけでもパッケージとして素敵なのに、それを「完成型」にまで導いて下さったのが、これまた関東からのライター、犬飼さんによるライナーノーツだ。
犬飼さんについても語り出すと、これまたゆうに一つの記事になってしまうが、彼のライナーはBathroom Sketchesというバンドがいかなるバンドか、そしてそれをも超えて、「行き先不明の僕達」という普遍的な不安と希望をも、多くの海外アーティストを引用しつつ余すところなく語って下さっている。
犬飼さんは僕よりも10歳も15歳も歳上で、80(70??)年代から数多くの海外アーティストと邦楽アーティストを聴いてこられたライターさんで、僕自身、一読者としても毎度、瑞々しく清冽な文体に魅かれていたのだけれど、恐縮ながら、今回ライナーをご依頼したのは御自身も長くバンドマンであった経験をもったライターさんであったからだ。実際にバンドでプレイしてこられた方の文であるから、本当に魅力的で真に迫るライナーになっている、そう思います。このライナーも岩沢さん同様に、マスターアップしてすぐに、草稿が送られてきて、改めて度肝を抜かされた。本当に頭の上がらない思いだ。

アドバイザーには、佐藤さんを迎えている。


さて、長くなりすぎたので後半に続けたいと思う。